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作動油は、油圧ポンプで高い圧力に加圧され管路を通って油圧駆動装置を動かし、クレーン装置を働かせる仕事を繰り返し行なっている。このため作動油は高温になり金属や空気、湿気に接しながら激しくかくはん状態で使用されているので劣化や酸化がおこる。このため作動油は、これらの過酷な条件に耐えられるような最適な作動油を使用する必要がある。
・粘性、粘度
粘性とは、油が管路を流れるのを妨げようとする性質をいい、この粘性の程度を表す値を粘度という。
・比重
一般に用いられる作動油の比重は0.85~0.95程度である。
・引火点
作動油の引火点は180~240℃程度である。油圧装置の故障で油が吹き出した時、近くに火気があれば引火する恐れがある。
・酸化
作動油は高温で空気、湿気、金属などに接している。また、激しくかくはん状態で使用されるので。酸化(劣化)しやすい。
油の粘度は、温度によって変わり温度が上がるほど低くなりサラサラと流れやすくなる。作動油の温度が上限より高くなると、潤滑性が悪くなるほか、劣化を促進したり、漏れが大きくなるためギアポンプの効率が悪くなったりする。また、下限より温度が低くなると油の粘度が高いため、ポンプの運転に大きな力が必要となる。通常、油を含め液体の粘度を示すには次のように粘度と動粘度がある。粘度は定められた断面積の毛細管中を定められた圧力のもとで、一定量の液体が流下する時間(秒)を測り、これに補正係数を乗じて算出する。動粘度は粘度(単位P)を液体の密度で除いた値という。適正な油の粘度の範囲は、ポンプの種類、能力によって異なるのでメーカーの指定する油を使用することが必要である。
作動油の選択する場合は、移動式クレーンが稼働する地域の外気温と作動油自信の使用限界温度を参考に選ぶが、温度範囲の上限は使用限界温度、下限は外気温度の低い方をとる。
作動油タンクに入り込む空気は常にゴミや水分を持ち込む。また、油圧装置も作動中に少しずつ摩耗粉が発生するので作動油は定期的に交換する必要がある。作動油の汚れが著しい場合は、交換時期以前でも交換またはクリーニングし、あわせてフィルタ交換を行う必要がある。作動油が劣化したか、あるいは異物が混入して、使用限度に達したかどうかを判定する方法としては、作動油を目で見て判定する方法と、物理的、化学的に分析して判定する性状試験とがある。いずれも新しい作動油との比較によって判定する方法である。なお、作動油の劣化とは、作動油中の成分が化学反応をおこし、その生成物がたまることをいい、作動油中に水や金属粉が混入したり、油温が高いと劣化しやすい。作動油の外観による判別方法は現場で簡単にできる。検査する作動油を、運転中の油タンクより採取し、採取した作動油と同一銘柄の新しい作動油をそれぞれ試験官に入れて比較する。
外観 | におい | 状態 | 対策 |
---|---|---|---|
透明で色彩変化無し | 変化がない | 良 | そのまま使用してよい |
透明であるが色が薄い | 変化がない | 異物が混入 | 粘度を調べてよければそのまま使用してよい |
乳白色に変化している | 変化がない | 気泡や水分が混入している | 油を交換する。または水分を分離する |
黒褐色に変化している | 悪臭 | 劣化している | 油を交換する |
透明ではあるが小さな黒点がある | 変化がない | 異物が混入 | 油を交換する。または油をろ過して再使用する |
泡立ち | - | グリースが混入 | 油を交換する |
搾取した作動油が白くなっていたり、泡立っていたりするのは、油タンクの構造の不備や管理の誤りからくる作動油の劣化である。正常な作動油は、通常0.05%程度の水を含んでいるが、オイルクーラーの水漏れなどでこれ以上の水分が油タンクへ入ると、作動油は乳白色に変化し、またグリースが混入すると泡立ちするようになる。劣化した作動油をそのまま使用すると、油圧ポンプをはじめとする油圧機器の潤滑性が失われ、シールが腐食する。作動の中に水が混入している場合にはタンクのドレンプラグを外して、水分を除く。作動油の油量の点検は移動式クレーンを走行状態にして点検する。正常な作動油の油面は上限(H)と下限(L)との間にある。